外資系企業への就職・転職を考える人たちにとって、
「外資系で働く人たちの英語力」は、気になるポイントの一つ。
みんなペラペラ?社内メールは全部英語?会議も全部英語?
今日は、外資系メーカーで働く私の日々の体験を元に、その疑問にお答えします。
自己紹介
- 外資系メーカーに勤務する30代のワーキングマザー。
- 勤務する会社は世界中にオフィスがあるグローバル企業。
- 職種は財務、いわゆる経理。
経歴と英語レベルは以下の通り。
- 日本生まれ日本育ち、日本の四年制大学を卒業。
- 大学時のTOEICは650点
- Uターン就職し、地元の製造メーカーで7年経理。
- ニューヨークでのインターンを目指し、渡米前に受けたTOEICは860点。
- エージェントなしでインターン先を自力で見つけ、ニューヨークにて一年半有給インターン。
- インターン中にアメリカ人と結婚、そのままニューヨーク現地法人の投資会社に一年勤務。
- 帰国後、外資系に絞り転職活動を2ヶ月の末、現在の外資系メーカーに転職、現在に至る。
海外のインターン経験とか勤務経験があるなら余裕じゃん、と思われたあなた、ちょっとお待ちを。
確かに現地でネイティブスピーカーと仕事をした経験のおかげで、メールのライティングや、スピーキングの能力は伸びました。
あまり迷ったり、緊張することなく対応できるので、強みにはなっています。でも、スラスラ話せないときもあるし、メールの表現に迷うこともある。なんなら今も仕事をしていてわからない言葉だらけの時もある。
そして実は、外資系企業で居心地よく、なおかつ長く勤務するには、語学と同等、もしくはそれ以上に大事なポイントがあることにも気づいたのです。
一体それは何だったのか?
私の実体験とともにお話しし、皆さんの不安解消に少しでもお役に立てればと思います。
みんな英語、やっぱり出来る?
では本題。
外資系で働く人は、みんな英語ができるのか?
答えは「Yes」です。
もちろんこれは私が働く会社に限った答えですが、
体感で日本語と英語の使用率は、日本語6割、英語4割。日常業務を行う上で英語がほぼ必須であることは想像がつきますね。
では具体的にどんな場面で使うのでしょうか?
日々の業務で
私の働く東京本社のオフィスには外国人はそんなにいません。1割もいるかな?と言うほど。
なので、そこら中で英語の立ち話が聞こえてくることはないし、すれ違いざまに”What’up?”なんて挨拶を交わすことも皆無。パっと見は普通の日本企業です。
でも日々の業務を見渡すと、みんなやっぱり英語、出来るんですね。と言うか必要不可欠なんです。なぜなら…
- 日本人同士でもメールが、英語
全世界にオフィスがあるようなグローバル企業になると、業務の一部を海外のチームに移管することはよくあります。となると、やはりメールのやり取りは英語。海外チームとのやり取りは全て英語な上、途中で日本人同士でメールする際も、海外チームが後で見返せるように英語でやり取りします。
「日本人同士なのに英語って、なんか気恥ずかしい」なんて言う、ありがちな雰囲気は会社内ではゼロ。これ、実は私には嬉しい誤算でした。(会社の雰囲気がすごく日系だから、社員もかなりザ日本人マインドだと想像していた。)
だからって、みんなネイティブみたいな英語を書くわけではないんです。(というかネイティブこそメールはかなり簡単明瞭であることがほとんどですが。)
誰が読んでもわかるように、簡単な英語で書かれていることがほとんどです。 - マニュアルやポリシーが英語
全世界が対象のアナウンスメントや、仕事で使うマニュアルなど、もちろん日本語版もありますが、同じくらい英語でも配布されます。やはり海外本社の裁量が大きいので、基本は英語で、使用頻度や需要の高いものは日本語に翻訳されています。
会社のポリシー(社則)は基本的に世界共通なので、英語で配布されて、重要なのは翻訳されるものもあります。英語で読めるよね?と言う感じで翻訳されないものも多々あります。 - 海外メンバーとの会議は英語
メールの話と重なる部分もありますが、海外メンバーとオンライン会議や電話をする時は、当然ながら英語です。ただし、海外メンバーと会議や電話をしなければならない業務というのは限られているもの。マネジメントクラスは毎日の人もいれば、一般社員で全く英語の電話をしない業務の人もいます。
逆に言えば、仕事で英語をたくさん使って仕事したいと思う人は、希望を出して行けば、能力が伴っていればそういったポジションへの配属も考慮してくれます。
重要なのは、言い回しやボキャブラリーがあることではなく、正確に意思伝達できるかどうか。簡単明瞭に、正確に伝え、業務が遂行できることが重要となります。英語が母国語でないもの同士が英語でコミュニケーションをとることはほとんどなので、「簡単な英語」の方が有効なわけです。
仕事のやり取りには問題のないレベルで皆英語はできる。高度な英語が必要とされるのは一部の人、もしくはポストが上がってからのことが多い。
ただしここで一点付け加えておきたいのは、英語ができることは必ず有利であるということ。外資系で上に行きたければ、英語は不可欠であり、むしろある程度高いレベルが必要となります。海外のメンバーは、例えば中国やヨーロッパのメンバーの英語のレベルは非常に高く、と言うよりネイティブレベルの人はザラにいます。それと比べれば、日本のレベルは明らかに低い。だからこそ、英語の能力が高ければ、上に上がっていきやすいのです。
もちろん英語は手段であり、実際の「仕事」の能力あってこその話ではあります。
実はこの話、重要ポイントなので記事後半で…。
英語を、読む、書く、聴く
では具体的に読み書きでの必要なレベルについて、より具体的にご紹介。
Writing
最も使用頻度が高いのがwriting。
私の会社の年齢層は20〜60歳代まで様々ですが、みんな英語でメールを書きます。
見ている限り、ネイティブ感満載の文章はほぼ見ません。(日本人が書いているんだな、とわかる感じ)
やはり重要なポジションについている人は英語で伝える力に長けています。
また面倒な問題に直面した場合など、細かい説明を英語でメールすることは避けられません。私の場合は月に一度くらいですが、これは職種・レベルによって様々。
自分が伝えたいことを、一言一句ネットで調べて翻訳しているようなレベルでは、時間がかかりすぎる可能性があります。
でもこれは慣れと経験で成長できる部分なので、ネットで検索しまくって英文作ってる…、って人も、入社してからみんなのメールを読んだり、真似して書いているうちに上達できる部分だと思います。もし不安であれば、ビジネス英語の添削サービスで2ヶ月もみっちり練習すれば、十分対応できるレベルになると思います。
Listening
最も英語を聞くといったら、会社発信のオンライントレーニングなどの動画を見るとき。
コンプライアンスなど会社のルールや方針、またそのトレーニング関連は、海外本社で作成されるためその音声は英語のこともよくあります。
個人的な見解ですが、TOEIC800点は最低限必要かな、と思います。
あとは英語での会議。
海外本社の人たちやネイティブ達は、非英語圏の人とのコミュニケーションに慣れています。なので基本的には分かりやすく話します。一方、非英語圏の人の英語の聞き取りの方が難し買ったりします。
何れにせよ、英語での会議が最初から多い人は、英語能力に期待して採用されているはずで、むしろ専門知識(営業や会計などの実務経験)との掛け合わせで採用された人は、最初から英語会議についてそこまでの心配は不要かと思います。
Speaking
こちらもListening同様、専門知識との掛け合わせで採用された人は、英語を話す機会は、最初からさほどないのがほとんどかな、と思います。日本人がビジネス相手であることがほとんどですからね。むしろ外国人相手なら、語学メインで採用するはずです。
でも一方でこの事実、英語使いたい人にはがっかり情報ですね。
よく転職の時に、身につけた英語を活かしたい、とリクルーターに伝えても、「将来的には可能性があります」なんて言われるのは、やはりマネジメントクラスでないと、海外との関わりが少ないから。
日本でビジネスをしている以上、相手にするのは日本の会社。なので英語を使うとなると、社内メンバーが相手となるわけです。外資系である以上、本社と海外の橋渡し役は必要なわけですから、必ず英語が必須なポジションもあるはずで、その場合はある程度高いレベルが必要になります。
私も主人も外資系で勤務していますが、意外と英語ががっつりできる人がいない印象が強いです。なので英語を日々使いたい人は、その希望を出していけば考慮は必ずしてくれるはずです。会社でも英語を使って海外と業務をがっつりしてほしい需要は必ずありますから。
Reading
個人的に私が最も手を焼いたのが読み物です。
仕事で参照するような業務マニュアルのほとんどは日本語です。
一方でどの部門にも、本社で用意されたそれは豊富なマニュアルが数多く存在するのですが、自分の業務上で、詳細な情報が必要になったり、新たな情報を得る必要がある時は、そのマニュアルを使用します。もちろん全部、英語。
私は経理職ですが、転職してまず予習のために目を通しておいてね、と紹介されたリンクは、会計について、英語で長々と説明されたWebページ。
「このページはよく使うから」と言われて読み始めたものの、それは日本語でも理解が難しい内容でした。こんな内容を日常的に英語で読むのが当然なのだと知り、外資系の現実を突きつけられたと思いました。
その後も、実際業務をするようになり、これら専門知識について英語で読んだり、勉強するのは、かなりの労力を要しました。
でも実はこの問題、英語の能力が問題ではありません。
では何が原因だったのでしょうか??
あなたは英語以外は何ができるの?
私の経歴を見てもらうとわかるのですが、経理歴は10年弱あります。
しかしながらその大半を、ぬる〜い環境でやっていたものですから、経理の知識の浅いこと浅いこと。
外資系企業への面接こそ、準備に準備を重ね、その上アメリカで培った、能力の十倍できるように聞こえる技を駆使し(嘘はついていない)、どうにか突破したわけです。
でも入った部署は、USCPA(米国公認会計士)資格を持っている人が半分のような場所。はっきり言って、本業である私の経理能力は、ついていくのにギリギリの最低限レベルでした。
先ほど、Readingについてはかなり労力を要したと言いましたが、それは英語能力の問題ではなく、本業の専門知識(経理、会計知識)の浅さが原因でした。
そんな私がどうにかやってこれた理由は一つ、英語です。
はっきり言って、私の採用理由は、経理の経験4割、英語の能力6割、だったと思っています。
もう一度言いますが、私はペラペラに喋れる、と言える域ありません。ただアメリカでネイティブスピーカーと仕事をしていたので、英語で話すことやメールを書くことに戸惑うことはそんなにありません。
また海外でのインターン・就労経験自体もは珍しいため、かなり”英語ができる”印象を与えたと思います。(面接時、英語のテストは筆記だけ。)
実際、普段の海外メンバーとのやりとりも全く苦ではないし、入社直後から、海外とやりとりのある仕事も任せてもらえました。
外資系企業という場所は、普通の会社での業務を、英語を交えてできる人のみが働ける場所、と言えます。
英語と本業知識のどちらが欠けても働ける場所ではない、と言えますが、そのどちらもハイレベルな人はまだそう多くないのも現状です。
なのであなたが、「どちらも多少できるよ」もしくは「片方はかなり自信があるよ」と思える場合、外資系で需要があると思っていいと思います。
外資系で楽しく仕事をしたいなら、英語➕αの何かを
英語の使用頻度、職種の専門性の高さは企業によって千差万別です。
でも私が、いわゆる大手外資系企業に就職して持った感想は、
「英語、そこまでできなくてもどうにかなるんだな」ということ。
大手外資系企業であっても、帰国子女だらけでない会社もあるのです。
英語力にしても、業務の専門性についても、とにかく入社してみて(入社までのプロセスもも簡単ではないけど)、後からどうにかできるものです。
もし外資系企業への就職・転職を考えている人で、能力的に不安を感じている人がいたら、あまり臆せずにチャレンジしてみることを心からおすすめします。
今後は、「外資系に入ってよかったこと」「外資系への転職活動」などを投稿予定です。
もっと外資系のこんなことが知りたい、という要望がありましたら、コメント欄で教えてください。
この記事で、あなたの不安が少しでも解消されると嬉しいです。