私がニューヨークへインターンシップに向かったのは28歳でした。
3歳からダンスを習っていた私は、小学校低学年にはニューヨーク行きたいという夢が芽生えていました。ませた子供だったと思う一方、はっきりとした意思はそれくらい幼少の頃でも芽生えるものだと実感しています。なぜなら、その夢を28歳まで持ち続け、それだけで渡米を実現させることになったからです。
田舎の中学生の現実
その後もダンスの影響で洋楽にはまり、中学生になるとアメリカへの興味は一段と増していきました。
当時はインターネットよりも書籍の方が内容も情報量も充実している時代。書店や図書館でアメリカ高校留学の本を読み漁り、どの州なら憧れのニューヨークに近いか目星をつけたりしていました。
されど私の住む街は四国の片田舎。語学留学の斡旋企業が車で40分行った場所にやっと一社あるような環境でした。中学生ながらに高校留学への道のりはかなり険しいものだと感じたのを覚えています。
今はインターネットのおかげで、住んでいる環境を理由に海外へ行くことを諦めることはありません。一方で、誰の手にも届く時代になったからこそ、そして膨大な情報量が入ってくるからこそ、正確な情報を見極め選択していくことがとても重要です。
親には相談しづらい「留学」
親にアメリカ留学に興味があるという意思表示をし始めたのも中学生の頃ですが、「何を言ってるのやら」とまともに相手にされなかった記憶があります。
それ以降「留学」という言葉を口にするのも恥ずかしくなってしまい、親に相談しなくなりました。これが良かったのか悪かったのか、それからは一人で着々とアメリカ留学の実現へと準備をしていくようになったのです。
世代も考え方も違う親世代にとって、「留学」は未知の世界。子供からすれば、大人は何でも知っている存在と考えがちですが、大人だって知らないことは多くあります。
中学生、高校生であれば情報収集はできるはず。集めた情報をもとに、まずは親など周りの信頼できる大人に相談をしてみましょう。賛同してもらえなかったとしても、集めた情報は今後必ずあなたの力になります。
アメリカ大学留学を本気で考えた高校時代
さて高校生になった私は、三年生の進路相談の際に留学したいことを担任に伝えます。担任の先生は英語の先生であり、進路相談専門の先生でもありました。その先生から返ってきたアドバイスは、「留学して英語だけ話せるようになっても、就職は簡単ではないから、日本の大学へ進学しておきなさい」というもの。
「留学したら英語が話せるようになる」というアドバイスの真偽の程は別記事で触れるとして(笑)、このアドバイスには当時全く納得できませんでした。
そして今、あの時の自分に伝えたいことがあります。
それは高校の先生たちに留学について相談してもあまり意味がないということ。海外の大学に進学者がいたり、留学も選択肢に入っているような学校の先生たちなら相談も決して無意味ではありません。しかし大多数が日本国内に進学するような高校の先生たちには、留学の知識があまりないのが現実です。いくら先生といえど留学は専門外の分野となり、結局は少ない情報量の中から絞り出して助言してくれるにすぎません。
早めに一歩を踏み出すべし
中学生や高校生のあなたが留学について悩んでいる場合、学校の先生だけでなく、留学専門エージェントや留学経験者に一度、しかも早い段階で相談することを検討してみましょう。まずは留学のことについて、自分よりも知識のある人と話をすることが重要です。
留学エージェントのアポを取ったり、誰かに相談しに行くのはとても緊張します。でも留学への思いが本気ならできるはず。まず「留学」という世界に足を踏み入れることが重要です。
そして一社、一人のカウンセラーに相談しただけで満足しないこと。エージェントの多くは、留学するのに必要な手続きを援助することでお金を儲けています。その中でも、あなたの留学後の人生まで見据えて相談に乗ってくれるような人を探し出してほしいのです。
留学や海外へ行くことが身近になってきているとは言え、学生には判断の難しい点も多々あります。特に留学というのは「初めて」のオンパレード。でも、「初めて」経験することほど面倒さや恐怖を感じるものはありません。だからこそ的確なアドバイスが重要となりますが、それができる人が簡単には見つからないのが現実です。
少しでも留学について考えたことのある人なら、留学の業界は何かと怪しく見えると思います(笑)。エージェント(仲介業者)には、儲け主義の会社もあれば、真にあなたに意義のある留学を経験してほしいと考えている会社もあります。
エージェント見極めのポイントは、相談中にあなたの留学に対する本気度を確認してくれ、あなたに厳しい意見も言ってくれるかどうか。「留学にはこんな大変なこともありますが、大丈夫ですか」など、デメリットも伝えてくれるかは一つの目安になります。
また留学エージェントに相談する際は、費用についてざっくりで良いので尋ねてください。留学にかかる費用は安いものではありません。この避けられない費用の面を、大まかにでも早い段階で知っておくべきです。事実を把握することで、よりリアルに留学について悩むことができるでしょう。
留学には、他の進学よりもいくら余計に費用がかかるのか。親に援助してもらえるのか。奨学金などを検討すべきなのか。そもそも多額の費用をつぎ込んでまで留学する必要があるのかなど。費用の面だけを取ってみても、悩みポイントはいくつもあるものです。
私が留学に出した答えは…
私は費用と自分の熱意を天秤にかけた時、親に多額の負担をかけてまでやりたいことなのか自信が持てなくなりました。高額な学費を払ってまでアメリカで「勉強」をしたいのか。私がやりたいことは、「英語の習得」もありましたが、何よりも「現地で生活すること」でした。突き詰めた結果、「留学」は自分が本当に求めることではないのだと気づくことができたのです。結果、日本の大学を卒業し、国内で一旦就職、その後ニューヨークにインターンとして渡米することを選びました。
自問自答を繰り返せ!
あなたが留学したい、もしくは海外に行きたいと考えているのはなぜなのか。
それを見極めることこそが、成功への最大のカギです。
目標と一致しているのか、タイミングは本当に今なのか、それによって生じる犠牲も把握しているのかなど、ありとあらゆる問題点を自問自答し、それでもやりたいと思った場合のみ前進することを勧めます。
留学や海外移住を考え始めると、厳しいことばかりが待ち受けているように感じるかもしれません。それだけリスクのあることなのです。でも、だからこそ成功した時のリターンは無限とも言えるのです。
成功させたいなら、もう十分というほど悩んでください。その上で決断し実行したことであれば、問題が生じても立て直せるだけの知恵が身についているはずです。
覚えていて欲しいのは、留学や海外へ行くことがすごいことなのではなくて、あなたの満足行く人生を送ることが重要なのです。
想像してみてください。例えば5、6年後、あなたは何をしていたいですか?
私の高校生までの経験と反省をもとに、「留学」についての向き合い方を書き連ねてみました。次回は、日本の大学進学から、日本でのUターン就職、その後ニューヨークでのインターンまでの道のりをお伝えします。
短期の語学留学や、習い事留学などをお考えの方に向け、私が1ヶ月のダンス留学を通して経験したメリットとデメリットを、別記事でお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。